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奇想の王国 だまし絵展 @Bunkamuraザ・ミュージアム

チラシでフューチャーされているのが、
額縁から飛び出そうとする少年の絵だったため、
いわゆる温泉場のトリックアート集を想像していたのですが、
良品の多い絵画点でしたよ。
というか、絵画的に良品が多いので、絵のちょっと下手な作品が悪目立ちしてました(笑)

作品の1/2が割とオーソドックスなトロンプルイユで、
後の半分は「趣味だろう!」と突っ込みたくなるもの。
実際はそちらのほうが良品が多かったです。
超有名作品が、全然広告にフューチャーされていないところも、ちょっとツボです。
そうだよね。展覧会って有名作品を見に来るだけじゃなくて、
誰かの編んだ目録・図録を直接楽しむ場なんだよね!!と改めて嬉しくなりました。

大きいものが多かったのですが、その分ちょっと隅々まで作品が詰められていて、
混雑の原因はここにもあるんじゃないかな、と思ったりしました。
端の作品を見ようと思うと、90度の位置にある作品を見る人とぶつかるんですよね。
サントリーでのロートレック展のときもこんな感じでした。
(いや、あれは小さい作品も角までびっしりでしたが・・・)
巡回展はとってもいいことだと思っているのですが、
時に、こういう落とし穴もありますね。

だまし絵といえば、安野光雅というのは、
(周囲には「大好き!」という人が多いので忘れがちだけど)、
同級生でもほとんどいないくらいなので、たぶん私より若い世代では一般的ではないのでしょう。
そんな私は、エッシャーにも小学生のうちに触れていたので、
会場で上がる「やー、どうなっているの?」という声が妙にうらやましかったです。
つい脳味噌で物理的・数学的・生物学的解析をしてしまう…つまらない人。
知識は往々にして毒にも薬にもなるのだ。むーん。
場合場合に応じて、視点・立ち位置をガラリと変えて楽しめるのが、
ベストなんですが、なかなか。

そういえば、この間八重洲の古書展で、Bunkamuraでやったエッシャー展の図録が売っていたのですよ。
その日は禅画展の図録もあり、こちらを買ってしまったのですが、まだちょっと迷ってます。
八重洲地下街の古書店ってみんなかわいくて入りやすいのがいいよね。

さてさて。閑話休題。
やはりだまし絵の楽しさとしては、
 ・水彩画の上に置かれた透明な紙 (1676 アドリアーン・ファン・オスターテ)
 ・水の都 (2008 パトリック・ヒューズ)
が群を抜いて秀逸でした。
特に前者は、350年前の作品が、こんなにも人の驚きと知的興味を掻き立てるという事実が、本当に素晴らしいです。

トロンプルイユでは、コルネリス・ノルベルトゥス・ヘイスブレヒツの作品。
絵のレベルが違う!! 特に大きな作品を並べられたデポルトが、ちょっとかわいそうになるほど。
(や、デポルトもいいんですよ。でも物の存在感が違う。)
物語を感じる絵でした〜。

判事絵も楽しいですね。見る角度によって見えてくるものが変わってくる。
特に、「ヨナと大きな魚としゃがむ男」(1538年 エアハルト・シェーン)は、ウィットに富んでいて、にやりとします。
アルチンボルトの「ルドルフ2世」(1590年頃)は、割と印刷物で想像していたとおり…という感じで、生で見る喜びはあまり沸いてきませんでした…。残念。
むしろアルチンボルトの源流とされる「水の寓意」(制作年不詳)が、じっとりと生臭くてよかったです。
魚嫌いな友人Mさんなら、ジンマシンが出るのではないか、というくらい。
パウルス・ロイの「ルドルフ2世、マクシミリアン2世、フェルディナンド1世の三重肖像画」(1603年)は、キャンバスに細い板をならべて、その側面にも描くことで、左右で別の絵が見える作品。
この視覚効果が現代の(6月にアートシティで見た)阿部岳史とかにつながっているわけですねえ。

そして、私の大好きなエリア、日本のだまし絵。
寄せ絵、幽霊絵はともかく、普通の描表装は、本物らしく描くというところに主眼を置いていないだけに、だまし絵?という気がしますが、良品ばかりであることは間違いないです。
特に、河鍋暁斎の「幽霊図」(1883年頃)。ふぅっと出てきた感じが良かった。
もっと暗く、下から明かりをともすような感じで見てみたかったです。
バーンズコレクションとの再会も嬉しかったです。
そして鈴木其一に鈴木守一。こういう展示会でこれだけ見られるとはもちろん思いませんでした。
可愛いなあ〜。守一のお雛様も見たかったです。

つづいて、シュルレアリスム。
もう、リスト作成において、作家のイスムを無視しちゃってる辺りが、自由で素敵。
理屈はいい!一般の人から見たらイコールだまし絵でしょ?みたいな。
ここで、マグリットの有名な「白紙委任状」がさらっと来てるんですよ。
さらっと過ぎない?!
思ってたより小さい絵でした(マグリットにしては)。
ダリはそうでもなかったです。
日本の美術館名品展でタリア柱廊を見たばかりだからか・・・。
(あれは本当にスゴかった・・・)
エッシャーは安定感。本やパズルではおなじみですが、
本物はやっぱり見応えがありますね。
Bunkamuraのエッシャー展に行きそびれたことを思い、感慨に浸りました。

その後はだまし絵に通じる現代アート。
アニッシュ・カプーアの「虚空 No.3」(1989年)は真っ黒な半球体。
と思いきや…。
黒が生み出す、空間に満たされた本当はないもの。
まさに胡乱の世界です。
鳥肌が立ちました。
また、0を生み出したインド出身のアーティストによる、無の質量という点でも興味深いです。
ほかの作品もブリジェット・ライリーの「ただよい1」(1966年)など
現実と非現実のはざまを視覚効果でさまよう、
興味深いものばかりでした。

現在、全日閉館時間が21:00まで延長されているので、是非是非足をお運びください。

---展覧会情報----------------------------------------------
会期:2009年6月13日(土)_08月16日(日)※会規中無休
時間:10:00_019:00(金・土曜日_021:00、入館は閉館30分前まで)
   ※7/23以降、好評のため、終了時間全日21:00に延長。
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
http://www.bunkamura.co.jp/museum/index.html
入館料:一般1400円 大学・高校生1000円 中学・小学生700円
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